声を届ける
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父「はい! もしもーし」
(『父の予想だにしていなかった元気な第一声に私も連られて元気になります。』)
私「声 大きいねっ」
父「ん そうか?」
私「誕生日 おめでとーう」
父「ありがとうございますっ。瞳の元気そうな声が聞けて今日はぐっすり眠れそうです(なぜか敬語)」
(『私のその元気の素はあなたに触発されたのですよ お父さん』)
私「うん ゆっくりぐっすり眠れるね」
父「そうです そうですね(なぜか敬語)」
私「はーい おやすみー」
父「はーい ありがとうございまーす(なぜかずっと敬語)」
父の誕生日には照れるから、といって、メールではなく、手紙や物でもなく、照れたまま声を届けようと思いました。
声はやはり波でした。
父の表情もそのまなざしも、声音に乗った言葉が残像となり、そのままをありありと見せてくれました。
今は、耳元近くを通った音の波が、聞こえない音の波となり、水紋のように浸っています。
これは父に恋した満月前夜のお話。