もう少し その2
琴ヶ浜に着きました。
琴ヶ浜は岩場の狭間にあるダイビングスポットです。水がきれいで海底までみえます。
サッと隠れるカニやヤドカリ。形がそのまま残っている貝なんかがよく見つかります。岩に波があたるとカポンカポンと、竹を鳴らしたような音がします。
平日の夕方前なので、わたしひとりで岩の上に寝そべって、そのままかるく眠ります。。。
さてと!帰りましょう。
帰り際、木村屋さんのパンがまだあるかしらとのぞいてみたら、お友達と椅子に座ってのんびりお話している様子。パンもカレーパンはなさそうだったので、またの機会にすることにしました。
帰り道だってハイキングです。
あの急で長い階段を、ぜえぜえ息切れさせながら登ります。途中でジャスミンの香りが流れてきましたが浸ってはいられません。なぜなら階段を上がりきっても容赦なく上り坂がそのまま続くのですから。
気を抜いたら…
もう……
動きたく……
なくなってしまう……から。
この階段は……
序章……
なんだ…から……。
はい、つかれた。もうつかれた。
ベンチに座る。
まあ、たいてい座りますよ。
気合いってなんだろう?
そこにベンチがあったら、あっさり座ります。
なんならそこのコンビニでポンジュースを購入して、のんびり帰ることにしますよ。
そんなこんなでもうすぐ我が家。
もうなにも起こらないだろう、人ともすれ違わないだろうと気を抜いたところに、サッと細い路地からランドセルをしょった男の子が出現。
ゲーム機を両手に持ちつつも、しっかりとこちらを見て
「こんにちはー」
と、間髪いれずに挨拶をしてくれました。
わたしは嬉しい感情を認識する前に笑顔となって、「こんにちはっ」とご挨拶。
挨拶ベタのわたしは、今までこんなにも気負いのない「こんにちは」をしたことがあったでしょうか。これからは挨拶の師匠として彼をずっと思い出していくのではないかしら、と感じたほど、一瞬に全てが詰まった出来事でした。
はい、お疲れ様でした。
これだけ散々書いておいて、初めて行かれる時のおすすめスポットは、ほとんど紹介のない馬場浦からの三ツ石とお林です。
やんちゃな真鶴ならではの、野性的でダイナミックな場所。
そこにプラス、こういう日常の、他愛なく、どこか懐かしい雰囲気も味わえたら言うことなしです。そして、きっと味わえます。つかもうとしなくても土地ににじみ、あふれています。
住民としてはあとわずか。
いよいよ
次の土地へと向かいます。