この木なんの木と花束
「朝の光がぱあっと映っていいもんだよー」
「朝にサッと摘んで生けると気持ちいいもんだよ」
こんな話がきっかけとなって、翌日早速早起きをした。
あったかい光と白い光が混ざりあっている早朝に、大家さんのお庭へ侵入。大家さんは新聞を広げてデッキでコーヒーを飲んでいた。
「おう、おはよう!」
「おはようございまっす」
「どうぞどうぞ、見ていってよ。木蓮立派でしょう。ぼくはそこの玄海ツツジも毎年楽しみにしてるんだよ」
そうしてどこかへ向かい、戻ってきた後に差し出されたのは、
そのまんま摘んで
まとめた花束。
「ほい、3種類の香りがあるよ」
「どんどん咲くよ。咲いているのをとっていっていいよ。遠慮はいらないよ」
「ゆっくりしてって」
そう言って家の中へ入っていった。