もう少し
真鶴はアップダウンの地形です。
散歩、ではなく、ベーシックがハイキングとなるので、
いつも意を決して周遊をスタートします。
まずは岩海岸へと向かいます。
その道すがら学校帰りの男の子たちが蛇の脱け殻でやいのやいのと楽しそうに円陣を組んでいます。
海岸につくと、釣りをしている慣れた風の二人組の男性が先着していました。
しばらく座り海風を満喫。
海岸を出る頃には親子連れの3人がやって来て、5才くらいの男の子が「海だー海だー」と嬉しそうです。
どこからかジャスミンの甘い香りが香ってきました。
ハイキングは続きます。
おいしい干物と塩辛と言えば青貫水産。そこのご主人がお店の奥の方から何か言っています。
「……が咲いたねー、きれいだなー、ほらほらそこの……。」
どうやらわたしに話しかけているようです。
そう、これはわりといつものパターン。ご主人はガーデニングが趣味でして、わたしはたいていこの辺りで足が止まってしまいます。
わたしを覚えている訳ではなく、
「やや!自慢の庭園に足をとめている人がいるぞ。」
という具合で話しかけてくるのです。
「このバラは時間がたつと赤くなってくるんだよ。あっちにはもっと咲いてるよ。猫の石像もあるから見てって。やー、クレマチスもぱあっとしてきれいだー。」
と、ひとしきりに話をしてお店に戻っていきます。もちろんわたしは自慢の庭園に足を延ばしますよ。この日は一輪だけ咲いていた、まるでリンゴの香りのような、小さなピンクのバラにすっかり心を奪われました。
もう少し行けそうだ。お林、三ツ石までは行けずとも琴ヶ浜まで行こう。
そんなわけでハイキング続行です。
ゆるくとも続く登坂を進み、階段をぐんぐん降り、漁港につきます。
今日の漁が終り、網を繕っている漁師さんがいました。
かっこいい。
その少し先に何やら年配の女性二人が話しています。
「吉田のおじいちゃんがさっきパトカーに『歩道歩いてくださーい』って言われてたよ。」
とか、何とか。(声が大きいので離れていても聞こえてしまうシリーズ)
真鶴は、どことなく歩く人優先の風習があり、道路に車が行き交うことも珍しいので車道に人が歩いていてもプップーとクラクションを鳴らされることがあまりありません。車がよけてくれるか、待ってくれるから。
ですので、たまに見かけるパトカーに歩道を歩いてくださーい、が、ネタになるんですねー。
つづく……